「BANSO」で提供するのはデザインじゃありません。TRUNKが「BANSO」を作った2つの理由 その1
「BANSO」は、デザイン会社なのにデザインをしないというサービス。
今年2月にリリースしたブランド構築サービス「BANSO」にたくさんの反響を頂いております。
「BANSO」はお客様とTRUNKが一緒に課題を発見し、その解決方法を見つけるワークショップの形式のブランド構築サービスです。
デザイン会社のサービスなので、デザインのサービスと思われがちなのですが、実は「BANSO」でTRUNKが皆さんにご提供するのは、いわゆる視覚的なデザインではなく『言葉』です。
具体的には、TRUNKのファシリテーションにより、異なる世代や部署の社員同士が参加するワークショップを通して、埋もれていた企業価値や目指すべき方向性を見出し、それをわかりやすい一つの言葉「ブランドコンセプト」に落とし込むというものです。
「言葉(ブランドコンセプト)」を、社員・スタッフ全員に共有することで、日々の業務で見失いがちな大切なものを再発見し、進むべき方向性や課題、やるべきこと、やるべきでないことが整理され、それが言語化されることで、「これでいいんだ!」と自信を持って次に進めるようになります。(←ここまでがBANSOでやること)。
デザインで「ブランドコンセプト」を世の中に伝えるフェーズは次の段階。ここではじめてデザインによるアウトプット(視覚化)が始まります。(BANSOにはデザインワークは含まれません)
TRUNKでは様々なお客様に、デザインの前に「BANSO」を導入されることをおすすめしています。目指す方向性を見出すことができれば、経営戦略に基づいたストーリーも描きやすくなります。
「BANSO」をリリースした背景には2つの思いがありました。
1つは、デザインが企業の経営戦略に深く関われていない現状を、どうにか改善できないかという思いです。
私たちは、デザインの役割の守備範囲の広さや可能性を感じながら、日々デザインワークをしていますが、一方で、デザインを企業目線で見ると、(目に見える部分『視覚化』を担っているだけに)経営戦略の最終的なところ=『アウトプット』を任せる存在。だったり、専門職として要望をステキにカタチにする存在。といった、事業の川下の狭い範囲の職域での活躍を期待されている、という認識が強いと感じています。
例えば、社内で試行錯誤したプロジェクトを世の中にリリースする段階で、仕上げの部分を、「ステキに」あるいは「カッコよく」整えるために、デザイン会社に頼もう!というイメージ。 さてどのデザイン会社に頼もうかな? デザイン性で選ぼうか、好みで選ぼうか、ネームバリューで選ぼうか、はたまた費用対効果か、という具合に検討がなされデザイン会社にお声がかかる、といった具合です。
つまりこれは、企業内に「経営戦略を世の中にリリースし浸透を図るためには、最終的にデザインが必要である」という認識がある一方で、戦略を考える川上の段階でデザイン会社がそこに参加する必要性は認識されていない、という事実の存在です。
経営戦略は、程度の差こそあれ何らかの形で必ず世の中にアウトプットされます。webであれ、パッケージであれ、店舗であれ、どんな形でも、情報が世の中に発信されるときには、必ずデザインが必要になります。とすれば、経営戦略を考えるときには、「どう伝えるか」も同時に考えることで、その確率・確実性は向上するはず、その視点でプロジェクトを見渡したら、修正すべき点も見えてくるかもしれません。そしてこの作業にはデザインのプロの視点が不可欠です。
しかし、どうしてもこの「どう伝えるか」の視点が抜け落ちたままプロジェクトが進んでしまい、最終段階にきてようやく、「う〜ん、これを伝えるにはどうしたらよいか・・・。あ、そうだ!デザイン会社に頼もう! 」ということになり、デザイン会社にお声がかかる、というありがちな企業とデザイン会社の関係性が多いのです。
これはとても残念でもったいないことだな、と思っています。
デザインは本来、企業の「我々は本当のところ、誰に何を提供して世の中に役に立っているのか」を見つけ出し、それをアウトプット(視覚化)できる職種でありながら、「アウトプット(視覚化)」のところだけ依頼される存在になってしまっている、結果思うように世の中に役に立てていない。私達はそんな状況を変えたいと思っています。

その2に続きます→