「勝手に民藝運動」と2つのクラウドファンディング その1
私事ですが、「民衆的工芸」いわゆる「民藝」に強く惹かれます。
それは2010年、茨城県陶芸美術館で開催された
企画展「人間国宝濱田庄司展」のデザインを担当したことがきっかけでした。
↑12年前にデザインした企画展「人間国宝濱田庄司展」のポスター
以来、様々な国の民藝的な手仕事のものを旅先で見たり、少しずつ集めるなどして、
生活に取り入れ、日々満足感と喜びを感じています。
いつしか、自分のそんな楽しみを「勝手に民藝運動」と名付け、自称「勝手に民藝活動家」として、文字通り「勝手に」楽しむようになりました。
「勝手に」と名付けた理由ですが、専門家やうるさ型がゴマンといるこのジャンルですから、勝手にも付けずに「民藝運動活動家」なんて言おうもんなら鼻で笑われますし、そもそも専門家の方々のやってらっしゃることと肩を並べたいと思っているわけでもなく、「あくまでも勉強不足な素人の個人の楽しみ(しゃれのようなもの)」という意味合いが含まれております。
こうして「勝手に民藝運動」などと言いながら、文字通り自分勝手に民藝を身近に感じ、楽しむ日々でしたが、そうこうしているうちに、いつしか「自分の得意なことで民藝に役に立ちたい」と思いが湧いてまいりました。自分のできることが、民藝という人々の生活を豊かにし、幸福感をもたらす価値あるものに「役に立てる」なんて、なんとも幸せかつ刺激的ではないか。そう思いはじめたわけです。
得意なこと、それはデザイン。ということで、いつしか「デザインで民藝に役に立つ」ことが「勝手に民藝運動」の活動内容に追加されたのでした。
益子参考館さんとは、濱田庄司記念益子参考館の修復のためのチャリティーTシャツ(通称濱T)をデザインさせていただいたり、ポスターやリーフレットをデザインする機会を頂いた、という縁があり、それ以来3代目当主の濱田友緒さんとその奥様雅子さんにはとても仲良くしていただいていておりましたので、早速お二人に「私がデザインを無償で提供して勝手に役に立とうと思います」と勝手にお伝えさせていただきました。
私の勝手な申し出を友緒さんと雅子さんは快く受け入れていただき、かくして一昨年の濱田窯ビンテージセールのDMのデザインを皮切りに、昨年には第2回濱田窯ビンテージセールのDMのデザイン(いずれも切り絵は民芸店ましこの若旦那 中山武さん)そして、濱田庄司とバーナード・リーチがともに作陶した場所である茅葺き長屋門の修復のためのクラウドファンディングのフライヤーを「勝手に」デザインして無償提供させていただきました。
この長屋門は長く当時のままの状態で保存されてきたもので、まさに濱田庄司とバーナード・リーチが作陶していたあの当時の気配を色濃く感じられる場所です。しかし痛みも相当激しく特に茅葺屋根は拭き直さないと建物そのものにも影響を与えかねない状況です。しかし、広大な敷地と濱田庄司記念益子参考館の維持だけでも大変な状況のなかで、加えてこちらの長屋門も改修となっては、とても濱田夫妻の頑張りだけではままならないということで、今回クラファンで広く支援を呼びかけてらっしゃいます。返礼品も濱田庄司の作品があるなど、充実した内容ですので、ぜひ一度サイトをご覧ください。

こちらのクラファンチャレンジ、残り2週間となっていますので、ぜひとも広く皆さんにご支援いただければと思います。
さて、益子から始まった「勝手に民藝運動」の活動の一環である、民藝へのデザインの無償提供ですが、わが町笠間でもなにか民藝に役立ちたいと思っていたところ、良いタイミングで今年で窯を開いて250年になる、笠間焼と益子焼の文字通りルーツである久野陶園の修復そして未来のための活用のためのクラウドファンディング「250年の歴史『笠間焼発祥の地・久野陶園』を残したい」のご相談を受けました。そちらに関しては、次のブログでご紹介しようと思います。